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PROJECT STORY02

原発再稼働プロジェクト

原発再稼働プロジェクト

電力の安定供給に欠かせない原子力。
その灯を、決して絶やさない。

東日本大震災による福島第1原子力発電所の事故を受け、全国の原発の稼働が停止した。その後、ロシアによるウクライナ侵攻などを契機に世界のエネルギー需給がひっ迫。電力の安定供給の観点から、原子力発電所の果たす役割が改めて見直され、現在は耐震補強工事などを施し、新規制基準をクリアした原子力発電所の再稼働が進められている。そして当社の技術者たちも、日本のインフラを支える原子力事業の復活プロジェクトを最前線で支えている。

メンバー紹介MEMBER

J.H
プラント事業部
副事業部長(理事)|1992年入社

日本大学理工学部卒。入社後は、福島第1・第2原子力発電所の予防安全に関わる工事の計画業務を経験。現在は、原子力・水力発電所、変電所、交通関係の建設、予防保全などを手掛けるプラント事業部の副事業部長として、原発再稼働プロジェクトの業務全体を指揮している。

N.H
プラント事業部 原子力工事本部
再稼働保修プロジェクト部部長|1993年入社

帝京大学理工学部精密機械システム工学科卒。旧・日立エンジニアリングサービスに入社し、原子力発電所に関連した各種機器やメンテナンスツールの設計、現場工事などを担当。現在は柏崎原発、島根原発の再稼働に向けた定期検査の計画策定などを手掛けている。

再稼働を見据えた、定期検査の仕組みづくりを担う。

J.H

当社が原発再稼働に向けて実施している主な業務は「新規制対応工事」と「定期検査」に大きく分かれます。新規制対応工事とは、地震や津波への対策が強化された設計による補強工事のこと。一方の定期検査は、営業運転を開始後、13カ月以内の実施が法律で定められている点検・検査業務を指しています。

N.H

以前は「保修プロジェクト部」という名称で、主に原子力発電所の予防安全や定期検査を担当していましたが、震災後、原子力施設の設置や運転などの可否を判断するための新規制基準が設けられ、この基準をクリアするための大規模工事を行う必要が出てきました。

J.H

そこで保修プロジェクト部から分離する形で「新規制対応工事」を担う部署が立ち上がり、再稼働に向けた新規制対応工事の完了が見えてきた2023年、新たに定期検査を担う「再稼働保修プロジェクト部」が発足することになりました。

N.H

再稼働保修プロジェクト部には130名ほどの社員が在籍しており、協力会社を含めると総勢1000名ほどのメンバーがさまざまな業務を行っています。私は主に柏崎原発の再稼働及び再稼働後の予防保全や定期検査、島根原発の新規制対応工事の完遂及び再稼働に向けた計画業務に携わっています。

J.H

原発が再稼働した後は、定期検査を同じ周期で実施していく必要があります。ところが、2011年に原発が停止してからすでに13年が経過し、その間ずっと作業が行われていなかったため、どのような体制で点検を行っていくのかが大きな課題となっています。

N.H

例えば、仮に2024年6月から稼働した場合、その13か月後には定期検査を始めなければいけません。それに向けてどのような体制を作り、最短の工程で効率よく点検を終わせるか。これがとても重要になるのです。そのため現在は、再稼働を軌道に乗せるためのストーリー作りを具体的に進めているところです。

安全を最優先に考え、原発への信頼を取り戻す。

J.H

定期検査といっても、決して簡単な作業ではありません。機械を分解してメンテナンスを行ったり、予備機と入れ替えて点検期間中にも原発の稼働を続けたりします。1日でも稼働を停止すれば、それだけ損失が発生します。そこで、いかに工期を短くするのかが私たちに課せられた使命なのです。

N.H

定期検査の項目は100件を優に超えており、同じ項目の中でも内容が細分化されているため、確認すべき点はかなりの物量になります。例えば、自動車の車検でも、点検項目は経年劣化状況や予防的先行交換により、ブレーキパッドを早めに交換することもあれば、あえてギリギリまで使い続けるという選択肢もある。これと同じようなことが原子力発電所の点検でも行われています。

J.H

厄介なのが、13年前に40歳前後だった人がすでに50代半ばに差し掛かっているということ。私たち管理者側も、現場の作業者の皆さんも、当時とは大きく様変わりしています。毎年点検を続けていれば経験が蓄積されているはずですが、結果的に10年以上途絶えてしまいました。まずは経験値の部分をどのように上げていくかを考えていかなければなりません。

N.H

現場の視点で言えば、新規制基準による耐震補強工事が行われたことで、現場環境自体も以前とはかなり異なっています。果たして今までと同じ工法が採れるのか。こうした部分も含めて新たなやり方を検討しているところです。

J.H

再稼働に向けて最も重要なのは、安全・確実な工程管理です。柏崎原発の再稼働に伴う作業はほぼ完了していますが、島根原発は今まさに終盤に来ている段階ですので、絶対にミスがないように慎重に進めていきたいと思います。

N.H

原子力発電所に対して地域住民の皆さんが不信感を抱くようなことがあってはならない。地元との信頼関係を構築し、安心してもらえる体制を作ることが大事だと思っています。私も信頼と安全が一番優先すべきことであり、必要最低限のミッションだと感じています。

再稼働を軌道に乗せ、日本の経済発展の力に。

N.H

まずは日立が手掛けるプラントとして、先陣を切って柏崎原発を立ち上げていく。そこで「原発は安全だ」「工事に間違いはない」というお墨付きを得ることができれば、その後は島根原発の再稼働、そしてさらに次へと拍車がかかっていくはずです。

J.H

柏崎原発では何とか再稼働を待つばかりの状態まで持ってくることができた。これは大きな成果です。今後も滞りなく立ち上げ作業を行うことで、地元の信頼を勝ち取っていければと思います。柏崎がうまくいけば、原子力事業に関わる人たちの士気も間違いなく高まるはずですから。

N.H

私たちの暮らしに電気は欠かせません。今後も日本経済を発展させるためには、エネルギーの安定供給が絶対に必要です。インフラを支え、やりがいを持てるのがこの仕事のだいごみだと思います。また、自分のスキルを高めていけば、現場での貢献度も違ってくる。「日立」という会社の看板を背負いながら、誇りを持って業務に取り組めるのも当社の魅力だと思います。

J.H

私も同感です。全国の原発を再稼働させることができれば、高騰が続く電気料金を引き下げることができますし、二酸化炭素の排出量削減にも大きく貢献できる。さまざまな社会問題を解決する糸口になると考えています。原発再稼働という多くの人が注目するプロジェクトを担い、社会に広く貢献していける。他では得られない達成感や充実感が味わえる仕事だと思います。

N.H

柏崎原発や島根原発の再稼働を軌道に乗せたうえで、5年後、10年後には、定期検査をルーティンワークのように自然と回せるような体制を作っていきたいです。私たちの技術をうまく次世代へと継承し、原子力発電を通じて持続可能な社会の実現を目指していければと思います。

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